日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
歯科医学関連領域の専門教育における質保証のためのIR学生調査―大学間の共通質問事項を用いた初年次教育の学修成果に関する検討―
大倉 義文黒木 まどか古野 みはる栢 豪洋
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 33 巻 2 号 p. 74-85

詳細
抄録

抄録 学修成果の可視化を目的として, 平成26年度歯科衛生学科1年次生 (n=99) を対象とした大学間で汎用性のある設問事項を設定した質問紙調査 (IR学生調査) を実施し, 代表的なIR学生調査の結果 (大学IR群) と比較検討した. 本学学生と大学IR群の2群間の統計解析は, 独立な標本間の比率の差の検定であるχ2検定を用いた.

 本学の全般的な学修状況について, 大学IR群と比較すると, 「専門教育の実践」 に関する肯定的回答は有意に高い比率 (p<0.0001) であったが, 「文献や資料を調べる学習」 や 「自分の考えや研究の発表」, 「学生同士の議論」 は低い比率 (それぞれp<0.0001) であった. 「学生生活の充実度」 や 「全体的な授業の質」, 「前向きな学修態度」 等の教育の質保証に関連した教育要素では, 肯定的な回答の比率は有意に高かった (それぞれp<0.05, p<0.01, p<0.001). また, 初年次教育の 「大学生活への適応」 において重要な教育要素である大学教員や他の学生とのコミュニケーションについても, 高い肯定的な回答の比率が認められた (p<0.05).

 汎用的なIR学生調査の結果を検討することで, 多面的な学修成果の可視化と教育課題の把握を促進し, 歯科医学関連領域の初年次教育の質保証につながる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2017 日本歯科医学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top