日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
歯科大生における 「もしバナゲームTM」 を用いたアドバンス・ケア・プランニングの学び―学習のレディネスの改善による変化―
大澤 銀子仲谷 寛大津 光寛岩田 洋
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2021 年 37 巻 3 号 p. 84-92

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抄録

抄録 近年, 将来の医療・ケアについて, 本人を人として尊重した意思決定を実現するプロセスであるアドバンス・ケア・プランニング (ACP) の重要性が唱えられており, 歯科医師もACPの概念を理解し, 患者や家族, 医療従事者やケアチームなどとACPの実践現場に携わる可能性は大きくなるであろう.

 本学では, 2017年度より生命歯学部の第2学年に実施している医療コミュニケーション概論実習において, 終末期医療について考える基盤を醸成するために, もしバナゲームTMを用いたACPの実習を取り入れている. 本研究では, 学習のレディネスの改善による学生の学びについて, 実習後の選択的および自由記載回答によるアンケートに対する, 計量テキスト分析を通した内容分析を行った. 学習のレディネスの改善には, 「余命半年」 を学生が自分事として考えられるよう報道や動画視聴などを取り入れた. 学習のレディネスの改善により, 学生の学びは単なるゲームの実施という体験から医療従事者としての視点をもち, 他者の価値観の尊重へと変化していった.

 ACPを始め医療においては定形化した解がない事項が多く存在し, 省察的な学びは重要である. われわれ教育者は学生の省察的な学びの効果を高めるために学習のレディネスを継続的に工夫していく必要がある.

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