2024 年 40 巻 1 号 p. 11-19
抄録 LBP(LTD based PBL)は協同学習の技法であるLTD(learning through discussion)とPBL(problem based learning)を組み合わせた教育方略である.2020~2022年度のLBPを活用した授業として「話し合い基盤型問題解決演習」(以後,LBP授業)は日本歯科大学生命歯学部1年生全員を対象に,オンライン,対面または両方の授業形態で実施した.本研究では,LBP授業における学生の自己評価の結果についてそれぞれの授業形態間で比較検討を行った.2020年度はLTDとPBLともにオンライン型のLBP(以後,オンラインLBP),2021年度はLTDがオンライン型でPBLが対面型のLBP(以後,ブレンドLBP),2022年度は両方とも対面型のLBP(以後,対面LBP)で実施した.学生の自己評価の解析から,「学習項目の抽出」や「適切な情報収集」「学習内容の整理」「傾聴」ができたかという質問項目では,オンラインLBP・ブレンドLBP・対面LBPの間で有意な差はみられなかった.これに対して,「わかりやすい発表」「積極的な話し合い参加」「良好なコミュニケーション」「グループへの貢献」ができたかという対話の深化に強く関連する質問項目では,オンラインLBPと比べた場合,対面LBPまたはブレンドLBPとの間で肯定的な回答をした学生の割合が有意に高いという結果を得た.
以上のことから,活発な討論や良好な対話を促すにはオンラインLBPに比べてブレンドLBPや対面LBPのほうが適していることが示唆された.