2025 年 41 巻 3 号 p. 89-94
抄録 日本歯科大学新潟生命歯学部で実施されている正課外テストの効果を検討する目的で,Computer Based Testing(CBT)が公的化された令和6年度の第4学年で実施した正課外テストとCBT本試験の結果を分析した.今回実施した正課外テストでは,5種類の多肢選択式テスト(テスト1~5)を期間をあけて3回ずつ試験し(プレテスト,ポストテスト,復習テスト),実施回での得点の比較,プレテストの得点とCBT本試験のIRT(項目反応理論)標準スコアの相関を調べた.その結果,プレテストと比較してポストテストと復習テストの得点は有意に高かった.最初(テスト1)および最終(テスト5)のプレテストの得点とCBTのIRT標準スコアはいずれも統計学的に有意な正の相関を認めたものの,相関係数はテスト5がテスト1より高く,CBTとの関連は最終のテスト5がより強いことが示された.さらに,プレテストのテスト1からテスト5で伸びた得点はCBTのIRT標準スコアと弱い正の相関があり,最終のプレテストの得点が最初より上がった学生のCBTのIRT標準スコアが高いと考えられた.以上から,正課外テストによる知識の習得状況とCBTの結果の関連が示唆された.