日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
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最新号
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第44回日本歯科医学教育学会学術大会
<特別講演>
<シンポジウム1>
<シンポジウム2>
<シンポジウム3>
<特別セッション>
原著
  • 佐藤 拓実, 長澤 伶, 中村 太, 長谷川 真奈, 星野 みずき, 藤井 規孝
    2025 年41 巻3 号 p. 71-78
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    抄録 一般歯科治療は狭小な口腔内を覗いて行うため,直視できない場面で用いるミラーテクニック(MT)は欠かすことのできない基本的臨床技能の一つである.しかしながら学修者にとってMTの技能習得は容易ではないため,著者らは臨床経験の浅い歯科医師に対する効果的なMTの教育方法の開発を目指し,MT下でのう蝕の切削について第1報,第2報として報告した.前報では研修歯科医(TD)を対象としたが,本稿では彼らを指導する指導歯科医(ID)に対して第1報と同じ実験を行い,IDと学習者であるTDを比較することで切削の正確性に関する熟練度について検討した.

     実験条件は,第1報に準じ,評価パラメータを過剰切削範囲,最大切削深度,平均切削深度,確認回数,切削時間とし,ID,TD間で切縁側,歯頸側,近遠心の4エリアごと,ミラー位置ごとで比較を行った.

     結果として,過剰切削範囲,最大切削深度,平均切削深度いずれもIDがTDに対して切削技能の優位性を示し,確認回数はIDのほうが多いことから,より慎重に切削していたことが示唆された.

     MTを用いた上顎右側中切歯のう蝕を想定した試験円の削除について,デンタルミラー(DM)の位置は切削の正確性に影響を与えるが,臨床経験によりMTの熟練度は変化し,MT技能の上達によりDMや切削器具の位置に関する不具合をある程度補正することが明らかになった.

  • 長澤 伶, 佐藤 拓実, 中村 太, 長谷川 真奈, 星野 みずき, 藤井 規孝
    2025 年41 巻3 号 p. 79-88
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    抄録 ミラーテクニック(MT)は,目視が難しい部位の際に有能な技能であり,歯科治療をするにあたり必要不可欠な臨床技能の一つである.しかしながら,経験の浅い学修者にとってMTの技能習得は容易ではない.そこで著者らは,臨床経験の浅い歯科医師に対する効果的なMTの教育方法の開発を目指し,MT下でのう蝕の切削について第1報,第2報として報告した.前報は研修歯科医(TD)を被験者としたが,本稿では指導歯科医(ID)を対象に第2報同様の実験を行い,IDと学習者であるTDを比較することによって切削の正確性に関する熟練度を検討した.

     実験条件は,第1報,第2報に準じ,評価パラメータを過剰切削範囲,最大切削深度,平均切削深度,確認回数,切削時間とし,ID,TD間で切縁側,歯頸側,近遠心の4エリアごと,フィンガーレスト(FR)の位置ごとに比較を行った.

     結果として,過剰切削範囲,最大切削深度,平均切削深度のいずれもIDのほうがTDよりも切削技能の正確性が高かった.また,FRを上顎右側犬歯に設定した場合の確認回数がIDのほうが多いことから,切削しにくい状況下での操作は,IDのほうがより慎重に行ったことが示唆された.

     MTを用いた上顎右側中切歯のう蝕を想定した試験円の削除について,FRの位置は切削の正確性に影響を与えるが,臨床経験によりMTの熟練度は変化し,MT技能の上達によりFRに関する不具合をある程度補正することが明らかになった.

  • 辻村 麻衣子, 水橋 史, 渡會 侑子, 鴨田 剛司, 二宮 一智, 井口 麻美, 佐藤 聡, 中原 賢, 藤井 一維
    2025 年41 巻3 号 p. 89-94
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    抄録 日本歯科大学新潟生命歯学部で実施されている正課外テストの効果を検討する目的で,Computer Based Testing(CBT)が公的化された令和6年度の第4学年で実施した正課外テストとCBT本試験の結果を分析した.今回実施した正課外テストでは,5種類の多肢選択式テスト(テスト1~5)を期間をあけて3回ずつ試験し(プレテスト,ポストテスト,復習テスト),実施回での得点の比較,プレテストの得点とCBT本試験のIRT(項目反応理論)標準スコアの相関を調べた.その結果,プレテストと比較してポストテストと復習テストの得点は有意に高かった.最初(テスト1)および最終(テスト5)のプレテストの得点とCBTのIRT標準スコアはいずれも統計学的に有意な正の相関を認めたものの,相関係数はテスト5がテスト1より高く,CBTとの関連は最終のテスト5がより強いことが示された.さらに,プレテストのテスト1からテスト5で伸びた得点はCBTのIRT標準スコアと弱い正の相関があり,最終のプレテストの得点が最初より上がった学生のCBTのIRT標準スコアが高いと考えられた.以上から,正課外テストによる知識の習得状況とCBTの結果の関連が示唆された.

研究報告
  • 仲谷 寛, 大澤 銀子, 岩田 洋
    2025 年41 巻3 号 p. 95-101
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    抄録 LGBTQの人々は,医療機関受診の躊躇や医療従事者の理解不足などにより健康格差を経験していることが報告されている.しかし,日本の歯学教育においては,いまだLGBTQに関する教育の報告は認められない.われわれは,医療の視点からのLGBTQへの理解を促すため,第2学年の歯学生に対しLGBTQに関する教育を導入した.教育効果については,プレ・ポストアンケートにてLesbian,Gay,Bisexual and Transgender Development of Clinical Skills Scale(LGBT-DOCSS)の態度の認識に関する質問の回答に対する分析および授業後の感想についてアフターコーディングを行いカテゴリーの抽出を行った.LGBT-DOCSSでの態度の認識の点数の中央値(四分位範囲)は,6.14(5.00-6.57)から6.57(5.57-7.00)へと有意な上昇が認められた(p<0.01).自由記載の感想からは,「医療の視点からのLGBTQの理解の必要性」「歯科には関係しないとの先入観からの脱却」などの5つのカテゴリーが抽出された.1回の講義を実施しただけではあるが,学生は歯科においてもLGBTQについて知る必要性を認識できたと考えられる.LGBTQの人々特有のニーズと健康格差に対応するために,日本の歯学教育において,LGBTQに関する教育の導入が必要であると考える.

紹介
  • 杉本 浩司, 鎌田 幸治, 野上 朋幸, 田中 利佳, 樋口 賀奈子, 多田 浩晃, 近藤 好夫, 角 忠輝, 鵜飼 孝
    2025 年41 巻3 号 p. 102-111
    発行日: 2025/12/20
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    抄録 長崎大学病院の歯科医師臨床研修プログラムにおけるリフレクションとフィードバックのための取り組みを報告する.歯科医師臨床研修において,研修歯科医が成長するためには,自分自身が行った診療に対して省察し,振り返りを行うことが重要であると考える.本稿では,研修内容として週報,ルーブリック,振り返り研修,診療評価票,症例検討会,実技試験,症例発表会の7つを紹介し,それぞれがどのように研修歯科医にリフレクションを促し,フィードバックを受けるのかを記載した.これらの取り組みは,1年間を通して研修歯科医がリフレクションを行いフィードバックを受けることで,研修に対する意識を変え,成長度合いや改善点を明確にし自身の行動変容に繋げることに貢献していると考えられる.

     研修施設は,研修歯科医が日頃から振り返りを行うことを習慣化し,リフレクティブな思考力の向上やフィードバックから行動変容を促すことができるような研修を構築することが大切であると考える.そのためには,指導歯科医と研修歯科医の信頼関係が構築され,研修歯科医がフィードバックを受容しやすい環境を作り,適切なコーチングやポジティブなフィードバックを考慮した指導を行っていく必要がある.

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