2025 年 41 巻 3 号 p. 95-101
抄録 LGBTQの人々は,医療機関受診の躊躇や医療従事者の理解不足などにより健康格差を経験していることが報告されている.しかし,日本の歯学教育においては,いまだLGBTQに関する教育の報告は認められない.われわれは,医療の視点からのLGBTQへの理解を促すため,第2学年の歯学生に対しLGBTQに関する教育を導入した.教育効果については,プレ・ポストアンケートにてLesbian,Gay,Bisexual and Transgender Development of Clinical Skills Scale(LGBT-DOCSS)の態度の認識に関する質問の回答に対する分析および授業後の感想についてアフターコーディングを行いカテゴリーの抽出を行った.LGBT-DOCSSでの態度の認識の点数の中央値(四分位範囲)は,6.14(5.00-6.57)から6.57(5.57-7.00)へと有意な上昇が認められた(p<0.01).自由記載の感想からは,「医療の視点からのLGBTQの理解の必要性」「歯科には関係しないとの先入観からの脱却」などの5つのカテゴリーが抽出された.1回の講義を実施しただけではあるが,学生は歯科においてもLGBTQについて知る必要性を認識できたと考えられる.LGBTQの人々特有のニーズと健康格差に対応するために,日本の歯学教育において,LGBTQに関する教育の導入が必要であると考える.