日本歯科医学教育学会雑誌
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抜去歯を用いた歯の鑑別実習の導入に向けた探索的検討
加藤 彰子稲垣 幸司水谷 誠本田 雅規
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2026 年 42 巻 2 号 p. 78-84

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抄録

抄録 目的:歯の解剖学は,歯の形態理解と歯種鑑別能力の習得に重要であるが,歯学部教育において抜去歯に直接触れて学修する機会は減少している.本研究では,愛知学院大学歯学部口腔解剖学講座に寄贈された抜去歯を教材として歯の鑑別実習を実施し,その教育的効果を探索的に検討した.

 対象および方法:2025年夏季休業期間中に実施した課外実習に参加した歯学部学生10名のうち,実習前・実習後アンケートの両方に回答した7名を分析対象とした.実習では,抜去歯を用い,乳歯・永久歯の鑑別の後,①歯種,②上下顎,③同一歯種内での順位の順に鑑別した.教育効果の検討として,10段階評価による量的データを記述統計およびWilcoxonの符号付順位検定により分析し,自由記述は内容分析により検討した.

 結果:実習前アンケートでは抜去歯に触れる経験がほとんどなかった学生が7名中5名であった.歯種鑑別の重要性の認識は高かった一方で,歯の形態観察に対する自己評価は低かった.歯種鑑別に対する自信度は,実習前(中央値4)と比較して実習後(中央値8)で有意に向上した(p=0.017).自由記述からは,歯の形態的多様性への気づきや鑑別手順の理解,学習意欲の向上などが抽出された.

 結論:抜去歯を用いた歯の鑑別実習は,歯の形態的多様性の理解を促し,歯種鑑別に対する自信の向上に寄与する可能性が示された.本研究は,抜去歯を活用した歯の解剖学教育の有用性を検討するための基礎的知見を提供するものと考えた.

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