口腔衛生学会雑誌
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原著
エナメル質齲蝕病巣の再石灰化に及ぼすリン酸化オリゴ糖の口腔内における効果
稲葉 大輔南 健太郎釜阪 寛栗木 隆今井 奨米満 正美
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2003 年 53 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

著者らは,リン酸化オリゴ糖カルシウム塩(POs-Ca)が馬鈴薯デンプンの加水分解物より抽出でき,カルシウムの溶解性を高めることを先に報告した.本研究の目的は,POs-Ca配合シュガーレスガムのエナメル質再石灰化に及ぼす効果を口腔内実験により確認することである.12名のボランティア(男性6名,女性6名;平均21歳)をランダムに3群(N=4/群)に分け,二重盲検,クロスオーバーデザインの口腔内実験を行った.各被験者は,脱灰した牛歯エナメル質ディスクを取り付けた上顎口蓋プレートを装着し,キシリトールガム, 2.45%POs-Ca配合キシリトールガム,およびショ糖ガムのいずれかを,1日4回噛んだ(期間:2週間/ガム).実験期間中,フッ化物は使用せず,エナメル質ディスクが乾燥しないよう注意した.エナメル質ディスクのマイクロラジオグラフからミネラル濃度分布を評価した.POsガム群の脱灰深度ld (Mean±SD=37±7μm)は,ショ糖ガム(75±19μm;p<0.01)よりも51%,またキシリトールガム(66±28μm;p<0.05)よりも44%,それぞれ有意に減少していた.このミネラル蓄積のメカニズムは,POs-Caが唾液のCa/P比をハイドロキシアパタイトの比率(1.67)に向けて高め,エナメル質に対して過飽和なミネラル状態を維持させたことによると考えられた.本研究より,2.45%POs-Ca配合シュガーレスガムを毎日利用することは,エナメル質初期齲蝕病巣の再石灰化を強く促進し,齲蝕予防に有効であることが示唆された.

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© 2003 一般社団法人 口腔衛生学会
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