口腔衛生学会雑誌
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原著
小学校におけるデンタルフロスを用いた保健指導による歯肉炎の改善 : 18ヵ月後の評判
葭原 明弘深井 浩一両角 祐子廣富 敏伸宮崎 秀夫
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2003 年 53 巻 2 号 p. 91-97

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抄録

デンタルフロスを日常的に使用することは,歯肉炎予防にとって非常に重要なことある.本調査の目的は,スクールベースでのデンタルフロスを用いた歯肉炎予防プログラムの効果を評価することである.対象者は,10歳児86人であり,そのうち39人を教育群とした.教育群では,歯科衛生士により,上下顎前歯部に対するデンタルフロスの使用方法について指導が行われた.教育群の学童は,調査期間中,毎日給食後,担任教師の監督下でデンタルフロスを使用した.診査は,1人の歯科医師によって上下顎前歯部10ヵ所の歯間乳頭部に対し行われ,評価標として,Papilla bleeding indexの変法およびPlaque indexの変法を用いた.6ヵ月間の変化量を1人平均出血部位数でみると,教育群では,-1.64±2.49なのに対し,非教育群では-0.45±2.68であった.この差は統計学的に有意であった.(p=0.037,t-test).さらに,教育群における18ヵ月の変化量を比較すると,1人平均の出血部位数は,ベースラインの4.67±3.01から18ヵ月後の2.35±2.47に有意に減少していた(p<0.001,t-test).結論として,本調査結果により,デンタルフロスを用いたスクールベースでのプログラムは歯肉炎予防に有効であることが明らかになった.

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© 2003 一般社団法人 口腔衛生学会
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