口腔衛生学会雑誌
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原著
コホート調査からみた喫煙量と歯の喪失との関連
吉野 浩一松久保 隆高江洲 義矩
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2003 年 53 巻 2 号 p. 98-102

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抄録

喫煙量と歯の喪失との「量-反応」関係を解析することを目的に,某銀行従業員の男性25〜54歳の737名を4年間追跡調査した.対象者は,調査開始時に親知らずを除くすべての現在歯(28歯)を保有している者とした.解析は10歳間隔で年齢群別に行った.その結果,各年齢群において,喫煙量の増加とともに喪失歯数は増加する傾向を示した.25〜34歳群では,非喫煙者の4年間の平均喪失歯数が0.09歯,10本以内/日の喫煙者は0.07歯,20本以上/日の者は0.26歯であった(p<0.05).20本以上/日の喫煙者の歯を喪失するオッズ比は,非喫煙者の1.42(95%信頼区間0.99〜2.04)であった.本調査結果では,「量-反応」関係は明確には現れなかったが,10本以内/日と20本以上/日の者の間に喪失歯数の差が現れる傾向が示された.

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© 2003 一般社団法人 口腔衛生学会
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