口腔衛生学会雑誌
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原著
口気中揮発性硫黄化合物と舌苔中細菌を指標とした生理的口臭に対する舌清掃と洗口剤の効果
合地 俊治田中 とも子佐藤 勉
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2004 年 54 巻 5 号 p. 539-549

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抄録
口気中の揮発性硫黄化合物(VSCsと略す)濃度と舌苔中細菌数を指標に,生理的口臭に対する舌清掃と洗口剤の効果を検討した.成人男性をA〜E群(A群:口腔ケアなし,B群:毎食後,水道水にて含漱,C群:毎食後の舌清掃後,B群と同様に水道水にて含漱,D群:毎食後にグルコン酸クロルヘキシジン配合洗口剤にて含漱後,B群と同様に水道水にて含漱,E群:毎食後の舌清掃後,D群と同様に洗口剤と水道水にて含漱)に分けて実験を行った.朝食・口腔ケア後のVSCs濃度は,すべての群で実験開始時(朝食前)に比べ有意に低値であった.いずれのVSCs濃度も朝食3時間後(昼食前)の時点で再び上昇し,A群とB群ではC〜E群に比べ有意に高値であった.実験開始24時間後(翌日朝食前)のVSCs濃度は,A群とB群では実験開始時のレベルであった.C〜E群のVSCs濃度も前日の昼食前に比べやや上昇したが,A群とB群に比べ有意に低値であり(B群のメチルメルカプタンを除く),実験開始時(朝食前)と比較しても有意に低かった.舌苔中細菌については,実験開始時(朝食前)で試料あたり10^6〜10^7個の好気および嫌気性菌が検出された.実験開始後の歯数変化は,ほとんどの実験群および菌種で朝食・口腔ケア後に減少し,翌日朝食前にかけて再び増加する傾向にあった.以上のことから,口気中VSCs濃度は,朝食後の口腔ケアの有無およびその方法に関係なく低下するが,舌清掃や洗口剤の使用は,その発生を持続的に抑制することが示唆された.
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© 2004 一般社団法人 口腔衛生学会
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