口腔衛生学会雑誌
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機械的歯面研磨によるヒトエナメル質の表面粗さの変化
尾上 文菜犬飼 順子中垣 晴男向井 正視
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2013 年 63 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

 本研究は歯面研磨がエナメル質の表面粗さに与える影響を歯面研磨時間,歯面研磨材の種類,ラバーカップの硬さの各要因から検討した.
 鏡面研磨したヒト抜去歯エナメル質を試料とし,歯面研磨時間5,15,30,45秒間,市販研磨材5種類および水,ソフトタイプおよびハードタイプラバーカップの2種類の硬さのラバーカップを使用して個々の条件ごとに歯面研磨を行った.表面形状測定顕微鏡を用いて各試料の中心線平均粗さ(Ra値)を測定後,二次電子像を撮影した.統計解析は歯面研磨時間,歯面研磨材の種類,ラバーカップの硬さの各要因について歯面研磨前のRa値を共変量としたRa値の共分散分析およびBonferroniの多重比較を行った.
 その結果,Ra値は,歯面研磨時間,研磨材の種類,ラバーカップの硬さのそれぞれの要因で有意差が認められた.また,歯面研磨材とラバーカップおよび,歯面研磨材と歯面研磨時間の交互作用に有意差が認められた.多重比較の結果,歯面研磨時間の5秒後と15,30,45秒後に有意差が認められた.荒研磨材アドネスト®コースは他の歯面研磨材と比較して有意にRa値が高く,それぞれの歯面研磨材間でRa値に有意差が認められるものがあった.したがって,歯面研磨はハードタイプラバーカップで15秒以上の研磨時間を確保し,最終研磨にはRa値のより低い歯面研磨材を使用すると良いといえた.

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© 2013 一般社団法人 口腔衛生学会
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