2020 年 70 巻 2 号 p. 73-79
北海道釧路地域は,全道および全国に比べて,幼児のう蝕が多い地域である.しかしながら,釧路地域では,幼児のう蝕リスク要因を把握する調査研究は今まで実施されていない.本研究の目的は,断面調査によって,北海道釧路地域(1市6町1村)の18~23か月児のう蝕と関連する要因を明らかにすることである.調査対象者は,北海道釧路地域で平成30年度に1歳6か月児歯科健康診査を受診した児であった.対象者数は1,328人で,対象者の保護者すべてにインフォームド・コンセントを行い,同意が得られた1,006人(75.8%)を解析対象者とした.自記式質問調査には保護者が回答した.調査項目は,性別,月齢,間食習慣,保護者による仕上げ磨き習慣,離乳食開始時期,フッ化物歯面塗布の経験,フッ化物配合歯磨剤の使用,夜間授乳,授乳期間,ほ乳瓶の使用,妊娠中の喫煙,家庭内での喫煙者,出生時体重,家族間での食具の共用,社会経済状況である.う蝕経験歯数(dmf)は,市町村の協力を得て,1歳6か月児歯科健康診査から入手した.一人平均う蝕経験歯数は0.09歯,う蝕有病者率は3.2%であった.分析は,う蝕経験の有無を目的変数として,ロジスティック回帰分析での単変量解析,Stepwise法を用いた多重ロジスティック回帰分析を行った.多変量解析の結果,う蝕と関連のあった要因は,男児,夜間授乳ありおよび甘味飲料でのほ乳瓶の使用ありであった.これらの結果は,北海道釧路地域の市町村の歯科保健指導に役立つ可能性が考えられる.