2024 年 74 巻 3 号 p. 177-186
県行政への活用に資するため,神奈川県が2020年度に実施した県民歯科保健実態調査の3歳児のデータを用いて,う蝕に関連する個人要因と地域差を検討した.4,741名の自己申告のう蝕,属性および歯科保健行動のデータを用いた.う蝕の有無または不明とその他の調査項目をクロス集計で検討後,う蝕の有無または不明を目的変数(参照カテゴリ:う蝕なし),その他の項目を説明変数とした多項ロジスティック回帰分析を行った.仕上げ磨きの負担感や困り感の自由回答について計量テキスト分析を行った.多項ロジスティック回帰分析でう蝕ありのオッズ比が有意に1以上であったのは,住所地域(基準:横浜市)の相模原市,湘南東部,県西,出生順位(基準:第1子)の第2子以降,テレビをみながら食事(基準:しない),甘味飲食物の毎日摂取(基準:なし),歯を毎日は磨かない(基準:磨く),仕上げ磨きの負担感や困り感(基準:なし),フッ化物配合歯磨剤を毎日は使わない(基準:使う),歯科医院の受診経験ありまたは不明(基準:なし)であった(p<0.05).自由回答では,子どもが口を開けるのを嫌がるなどの困りごとが多かった.これらの結果から,神奈川県の3歳児う蝕には,出生順位,食事の習慣,甘味飲食物摂取,歯磨き習慣,仕上げ磨きの負担感や困り感,フッ化物配合歯磨剤の使用,歯科医院の受診経験が関連し,これらを調整しても地域差が存在した.