抄録
柄および植毛部の形態ならびに毛のかたさが異なる3種類の手用歯ブラシを用いて, 学童に各人が日常行ないなれている歯みがき方法によって, 上顎前歯および左右側臼歯の唇・頬面の合計3ブロックのそれぞれについて, 1ブロックあたり20秒間ずつ刷掃させたときの歯みがき圧, 歯みがき動作の回数 (brushing stroke) および刷掃前後のDebris indexから求めた歯垢清掃効果率を測定した。そして, 歯みがき圧と歯みがき動作の回数との関係ならびに歯垢清掃効果率と歯みがき圧および歯みがき動作の回数との相関性などから, 各歯みがき部位間の歯垢清掃効果の優劣や各歯ブラシの刷掃効果を検討した。
そして, つぎのような結論を得た。すなわち, 歯みがき圧 (100~500g) や歯みがき動作の回数 (30~100回/20秒) には, 個人差が認められる。しかし, 成人における成績に比較して, 前者における個人差の変動範囲は小さいが, 後者の変動範囲には差は認められない。また, 各歯みがき圧には, 成人においては差はみられるが, 学童では認められない。
以上の各事実から, 学童においては, 成人におけるほどには歯みがき動作に癖や習慣が付いていないことがわかる。
一般に, 柔らかい歯ブラシよりも毛のかたい歯ブラシのほうが, 歯垢清掃効果はよい。しかし, 逆の場合も認められる。すなわち, 歯垢清掃効果には歯みがき圧だけでなく, 歯みがき動作の回数も関係しているからである。
そして, 歯垢清掃効果率が100%である被検者においては, 歯みがき圧は歯みがき動作の回数に逆比例するが, 100%でない被検者ではこの逆比例関係は認められない。
また, 歯垢清掃効果率は, 歯みがき圧と歯みがき動作の回数との積に比例する。
上顎歯唇面の歯垢清掃効果には, 成人でも学童でも差はみられない。この部位は, 年齢の差による歯みがき動作の巧拙には関係なく, とくに刷掃しやすいからである。