抄録
小児の医療用医薬品開発の現状は孤児的状態(Therapeutic orphan)にあり、臨床現場では適応外使用(Off-labeluse)を余儀なくされていることが多い。この理由は、製薬企業にとって小児集団は市場になりにくいうえ、臨床試験を実施するのに困難を伴うからである。医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されている新薬の承認に関する情報によると、平成13年度から平成16年7月までに承認された全医薬品は188品目で、その内小児用医薬品(小児への適応を有する医薬品を含む)として承認されたものは28品目(14.8%)であった。この28品目の審査報告書によれば、国内で小児を対象とした治験/臨床試験が実施されたものは10品目で、そのうち海外小児臨床試験成績を利用したブリッジングコンセプトに基づくものが2品目、再審査期間中の通知(医薬審第107号)に基づくものが1品目含まれていた。適応外使用の通知(医薬審第104号)に基づく申請により承認されたものは10品目、稀少疾病用医薬品として承認されたものが4品目、疾患(化膿性髄膜炎)の頻度の低さや重篤性が考慮され海外データをもとに承認されたものが1品目あり、他の3品目はテロ対策に伴い迅速審査されたものであった。以上から、小児用医薬品において、国内での臨床試験に基づく承認申請は少なく、医学薬学上公知とみなせるだけの文献情報、海外での小児臨床試験成績、市販後の使用成績等の既存データを利用できる場合に小児適応の取得がなされていることが明らかとなった。日本では治験に対する認識がいまだ希薄であり、国内において小児を対象とした臨床試験を行うことが困難な現状を踏まえると、承認に向けたエビデンスの構築のためには、医薬品の開発状況を把握し、海外での小児臨床試験や成人のデータを利用した臨床試験デザインを考慮することが重要と思われた。