環境化学
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ダイオキシン類による大気汚染の指標性に関する研究: その2
―サクラ葉中のダイオキシン類の年間変動と大気中濃度との関係―
東條 俊樹清家 伸康松田 宗明河野 公栄脇本 忠明
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2000 年 10 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

ダイオキシン類の大気汚染を迅速且つ広域に調査することを可能にする指標試料として植物葉の可能性の検討を行った。その結果, サクラ葉中のPCDD/Fs濃度は同時期の大気中PCDD/Fs濃度を反映しており, 葉と大気の間で一定期間に平衡状態が成立していることが明らかになった。また, 一定期間の大気に曝露した葉中PCDD/Fs濃度と大気中PCDD/Fs濃度は, 蒸散と沈着を繰り返して平衡状態に向かってゆく。しかし, その平衡状態の期間においても葉中濃度は微量に増減を繰り返していた。この現象の原因と考えられる気温等の諸要因の変動を小さくするためにそれぞれの長期間の平均値を用いたところ, 良好な相関関係が得られた。以上の結果より, サクラ葉中のPCDD/Fsは, その同時期の大気中濃度を反映しており, PCDD/Fsによる大気汚染の指標試料として利用できることが確認された。

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