環境化学
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廃棄物埋立処分場におけるホウ素の収支
吉永 淳安原 昭夫白石 寛明薩摩林 光伊東 秀一川又 秀一
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2000 年 10 巻 1 号 p. 19-25

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抄録
日本各地の廃棄物埋立処分場の浸出水中にホウ素が高濃度かつ高頻度に検出されることが明らかとなっていることを背景として, 廃棄物埋立処分場における浸出水中ホウ素に関する基礎的な調査を行った。隣接する2つの管理型構造を持つ一般廃棄物埋立処分場 (埋立て終了および埋立て中) において, 1997年11月より1999年1月までの15ヶ月間, 2月に1回サンプリングした浸出水 (n=7ずつ) , 浸出水の対照試料としてサンプリングした, 2つの処分場外直近の沢水 (n=7) , 当該地域の降水 (n=12) 中のホウ素濃度を定量した。その結果, (1) ホウ素濃度の中央値は, 降水 (0.0021mg/l) <沢水 (0.062mg/l) <浸出水 (2処分場とも1.3mg/l) の順に高くなり, 浸出水の濃度は降水の約600倍であること, (2) ホウ素絶対量にすると, 埋立処分場からのホウ素放出量は年間62000g, 降水によるインプットは年間350gと推定され, 埋立処分場によるホウ素の負荷は, 不確定な要因を含め, インプットの180倍以下であること, (3) 埋立処分場に由来する浸出水へのホウ素の負荷は, 他の元素 (アウトプット/インプット: 62~3900) に比較して必ずしも高いわけではないこと, が判明した。
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© 日本環境化学会
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