抄録
電気電子機器材料中に臭素系難燃剤として添加されるPBDEsの測定手法の検討に加え, 熱分解時の挙動の確認を行った。その結果, 溶媒抽出-GC/MS測定法では, 抽出効率及び作業性等の観点から, ソックスレー抽出法よりも, 溶媒分別法の方が適していることが判った。さらに, その際の抽出溶媒はヘキサンよりもトルエンの方が適していた。以上のことから, スチレンポリマー中のPBDEsの抽出法としては, THFとトルエンを用いた溶媒溶解分別法-GC/MS法が, 最も有効であることが確認された。一方, 試料を熱分解-GC/MSで測定した結果では, 難燃剤として添加されていたDeBDEが, 熱分解により, 1から7臭素置換体のPBDEsとPBDFsを生成することが確認された。このことから, PBDEsが, 熱分解によって脱臭素化反応を起こすことが判り, 試料中難燃剤の同定分析の手法としては相応しくないことが確認された。また, PBDEsが難燃剤として大量に添加された物質を焼却した場合, 有害な臭素化ダイオキシンが生成されることを示唆する結果が得られた。