抄録
クレオソートに関する室内環境汚染実態とその成分の毒性についての研究を行った。防腐剤としてクレオソートを使用していた集合住宅の調査では, クレオソートの主成分7物質が検出された。また, 細胞増殖阻害が住戸における居間の室内空気について認められた。
クレオソートが塗布された木片をモデルボックスに挿入した実験において, 各種温度条件下で発生したクレオソート成分の濃度変化を検討したところ, クレオソート成分の気中濃度は温度の上昇に伴い増加する傾向にあった。同様に細胞増殖阻害性についても温度の上昇に従って増殖阻害率が上昇した。しかし, Ames変異原性試験では, クレオソート各成分の濃度範囲では変異原性を示さなかった。室内環境汚染質の評価には, バイオアッセイ法を併用することにより, 化学物質測定のみの評価では不十分なものが, より詳細に評価できるようになる。