2016 年 10 巻 3 号 p. 195-201
日本における薬剤性光線過敏症の発症状況を把握する目的で,日本の有害事象自発報告データベース(JADER)を用いて薬剤性光線過敏症症例の調査を行った。
JADERに登録された症例のうち,“光線過敏性反応”,“日光皮膚炎”,“光線性皮膚症”および“光線性口唇炎”が報告された症例を対象とし,患者背景,使用薬剤,発症日,転帰を解析した。
総報告件数は293件(男性 : 160件,女性 : 133件)であり,年齢は60歳代が75件,70歳代が83件と高齢者が多かった。被疑薬はロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジドが72件と最も多く,次いでケトプロフェンが25件であった。発症月は4~8月に集中する傾向があった。多くは回復または軽快するが,なんらかの障害が残る症例も確認された。
本調査より,薬剤性光線過敏症の発症状況が明らかとなった。これらの知見は薬剤性光線過敏症の予防や治療の一助となると考えられる。