2016 年 23 巻 2 号 p. 127-129
Jeffery型骨折の合併症としての有痛性内側上顆偽関節は報告が少なくまれな病態である.今回,本疾患に対する治療を経験したので報告する.
症例:12歳,男児.6歳時に転倒し受傷した.他院で右肘頭骨折の診断で観血的骨接合術が施行された.術後6年後に発症した右肘痛を主訴に当院を受診した.当院初診時,肘関節部内側に疼痛を認め,肘関節可動域は伸展-15°,屈曲130°と伸展障害を認めていた.肘関節単純X線像およびMRI像では,橈骨頭の変形および上腕骨内側上顆偽関節を合併しており,Jeffery型骨折に合併した有痛性内側上顆偽関節と診断した.5か月間,経過観察を行うも症状が持続したため,偽関節手術を施行した.術後1年後の現在,疼痛は消失し,肘関節可動域は伸展0°,屈曲135°と改善し経過良好である.骨端核出現以前の若年者のJeffery型骨折は診断が難しく,将来,内側上顆偽関節による疼痛が生じることがあり注意を要する.