2016 年 23 巻 2 号 p. 35-38
上腕二頭筋遠位腱皮下断裂に対して手術を行った2例について報告する.Boyd and Anderson approachで肘関節前面を展開,断裂した遠位腱を同定し後外側を展開,橈骨結節部に骨孔を作成して遠位腱を縫着した.術後3週間ギプス固定,ヒンジ付き装具に変更しROM訓練開始した.
症例1:56歳,男性.腰をかがめ右手で体を支え作業中に足が滑って受傷.自動屈曲伸展は可能だが伸展時痛があった.上腕遠位内側に退縮した筋腹を触知,肘窩部に圧痛がありMRIで遠位腱断裂を認めた.術後1年,疼痛はなく,肘関節伸展-10度,屈曲140度で健側に比べて伸展制限を認めるが,回内外は左右差なく,現職に復帰している.
症例2:53歳,男性.石膏ボードを持ち上げた際に左肘痛を自覚し来院.上腕遠位内側に退縮した筋腹を触知,肘窩部に軽度圧痛があり,MRIで遠位腱断裂を認めた.術後6か月,痛みはない.肘関節伸展-15度,屈曲130度で健側と左右差はない.回内外も左右差はなく,現職に復帰している.