日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
II.成人骨折・脱臼
肘頭および尺骨鉤状突起に骨折を生じた尺骨近位端複合骨折の治療経験
仲西 知憲小川 光石河 利之
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2017 年 24 巻 2 号 p. 176-179

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抄録

 比較的稀に遭遇する肘頭骨折に尺骨鉤状突起骨折を合併した複合骨折を2例経験した.いずれも肘の直達外傷で,腕橈関節亜脱臼を認め,一次整復を施行した.肘頭骨折および鉤状突起骨折(2例ともRegan III, O'Driscoll 3-2)を認め,両症例ともnatural split approachにて手術を施行した.骨折部に対しては,鉤状突起のロッキングプレートおよび肘頭tension band wiringを施行した.術後疼痛は軽減し,骨癒合が得られ,関節不安定性は生じなかった.しかし,1例は機能良好,1例は著明な関節拘縮および尺骨神経障害を認めた.著明な関節拘縮を認めた症例ではPRUJ粉砕を強く認めており,関節拘縮の改善のためには治療オプションの検討が必要である.

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© 2017 日本肘関節学会
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