日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
II.成人骨折・脱臼
尺骨鉤状突起偽関節を伴った陳旧性PLRIの2例
束野 寛人田嶋 光
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2017 年 24 巻 2 号 p. 180-183

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抄録

 症例1は16歳男性,6年前に左肘を脱臼した.症例2は33歳男性,13年前に右肘を脱臼した.両者ともに外側と後方不安定性を認め,Lateral pivot-shift test陽性であった.画像では2例とも外側上顆の小骨片と尺骨鉤状突起の骨欠損,外側不安定性,尺骨滑車切痕のdouble floor,上腕骨滑車の前方亜脱臼を認めた.

 手術は外側侵入で,症例1は長掌筋腱(PL腱)で外側側副靱帯(LCL)を再建し,前方小皮切で尺骨鉤状突起を再建した.症例2はPL腱で残存LCLを補強し,外側皮切を延長して尺骨鉤状突起を再建した.

 術後2週間固定し,装具下にROM訓練を開始した.術後6か月でROM制限なく,不安定性,脱臼の再発はなかった.

 今回の2例は残存LCLが退縮または脆弱であったため,PL腱を用いた再建,補強が必要であった.LCLの再建で外側不安定性は解消され,尺骨鉤状突起再建で後方不安定性が解消された.

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© 2017 日本肘関節学会
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