2017 年 24 巻 2 号 p. 30-33
目的:小児上腕骨遠位骨端線損傷を外側顆骨折と誤り,治療に難渋した症例を経験した.救急病院では,手術的治療を行うことが多いと考えられるが,教訓して共有すべき症例として報告する.
症例:6歳男児.塀から転落して右肘の骨折を受傷.近医より紹介され当科受診.関節造影を行い外側顆骨折と診断し,外側切開により観血的にピンニングを行った.後日,診断の誤りが判明し,約40度の外旋矯正骨切りを施行した.関節周囲の骨棘形成により,可動域制限増悪し,洗顔,ボタン留めが困難となった.内反変形も生じていたため,9歳時に外反矯正骨切りと骨棘切除と窩部形成による関節形成術を行った.10歳の時点で,窩部再閉鎖と関節拘縮により,可動域制限を残している.
考察:小児上腕骨遠位端の骨化していない骨端骨折の場合,時に,骨折型の診断に難渋する.場合によっては直視も行って骨折型を確認し整復固定術を行うべきである.