2017 年 24 巻 2 号 p. 85-87
症例は14歳男児,ハンドボール中に転倒し,受傷当日に当院を受診した.単純X線,CTにて橈骨頭脱臼骨折と尺骨急性塑性変形を認め,maximum ulnar bow(以下MUB)は7mmであった.翌日,伝達麻酔下に尺骨塑性変形に対して徒手整復術を施行し,MUBは3mmと改善を認めたが,橈骨頭の整復は不能であった.そのため,後日,尺骨矯正骨切り術と橈骨頭の観血的整復固定術を予定し,肘関節屈曲90°,前腕中間位で上腕から手関節までシーネ固定を行った.受傷4日目,全身麻酔下に橈骨頭を透視にて確認すると,橈骨頭は整復されており,MUBは3mmのままであった.橈骨頭を直視下に確認したところ,関節包や輪状靱帯の断裂はなく,橈骨頭の骨片の整復も良好で腕橈関節の対向も良好であった.そのため,尺骨の骨切り術と橈骨頭の観血的整復固定術は施行しなかった.自然整復の一因として,全身麻酔による筋弛緩や上腕二頭筋の牽引力が少なくなったことが考えられた.