日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
V.外側(内側)上顆炎
上腕骨外側上顆炎に対するPeppering法の経験
井上 貞宏
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2018 年 25 巻 2 号 p. 240-244

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抄録

 上腕骨外側上顆炎に対するpeppering法(Pep法)を行った33肘の成績を報告した.Pep法は1回から5回,平均1.9回施行し,後ろ向きに成績を評価した.Pep法後に腫脹や炎症が持続した5肘には局注や関注を追加した.Pep法後6か月では約半数に疼痛が残存していたが,1年,2年の経過で成績は有意に改善した.再発は3肘に認めた.ステロイド注射の既往がある症例,ステロイドを併用した症例では成績が悪い傾向にあった.Pep法は病巣部の破壊・デブリドマン効果,出血や炎症を生じて組織の再生を促す効果,力学的ストレスのバイパス効果などが期待されている.本法は難治例に対するサルベージ法の可能性があるが,回復には時間を要する.さらに,侵襲が大きいので追加治療を要する症例もあった.Pep法では病巣部を正確に処置する手技上の工夫が必要であるが,長期的には自然経過を阻害するような危険性はないと考えられた.

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© 2018 日本肘関節学会
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