抄録
われわれは伸展型小児上腕骨顆上骨折に対して,肘を深屈曲させて整復し深屈曲位のまま外固定する保存療法を行っている.本法を行い6か月以上観察した25例を調査した. Gartland分類type IIが19例,IIIが6例であった.初診時のtilting angleは3±22度で,深屈曲で36±6度まで整復され,骨癒合時は28±9度であった.3例が手術に移行し,いずれもtype IIIであった.最終humeral-ulnar angleと初診時Baumann角に正の相関を認めた.初診時の内側骨皮質粉砕がある例では最終humeral-ulnar angleは-2±4度で,粉砕がない症例では8±6度であった.対健側差10度以上の内外反は3例に認めた.本法は,骨癒合後にも自家矯正が期待できる年少児で特に有用であり,年長児や内外反転位が強い例,内側骨皮質粉砕がある例に行う際には注意を要する.