抄録
【緒言】先天性無痛無汗症患者に生じた上腕骨遠位骨端離開の1例を経験したので報告する.
【症例】 2 歳 5 か月,女児.歩行中に前のめりに転倒し受傷した.左肘関節の腫脹を認めたが圧痛や動作時痛はなかった.単純 X 線像にて上腕骨外側顆骨折に伴う左肘関節脱臼と判断し同日手術を施行したが,術後 3 日で再転位を認めた. X 線を再評価し上腕骨遠位骨端離開の診断にて同日再固定および 一時的肘関節固定術を施行した.再手術後 1 週で再転位および関節固定部高位での上腕骨顆上骨折を生じたが,転位は軽度であったため保存加療を継続し術後 8 週にて骨癒合が得られた.術後 12か月にて明らかな機能損失は認めない.
【考察】先天性無痛無汗症患者は疼痛を感じないため局所安静が守れず骨折治療に難渋することも少なくない.本疾患の治療に当たっては手術加療や外固定の工夫を考慮する必要があると考える.