日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅱ. 先天性疾患
先天性内反肘に伴う後外側回旋不安定症に対して上腕骨矯正骨切り術と靭帯再建術を行った1例
仲宗根 素子金城 政樹大中 敬子大久保 宏貴西田 康太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 27 巻 2 号 p. 8-11

詳細
抄録
 外傷歴の無い内反肘変形に伴う後外側回旋不安定症(PLRI)の治療報告は少ない.両側の非外傷性内反肘で右側にPLRIを認める症例に対し,上腕骨矯正骨切りと靭帯再建術を行った.【症例】14歳男性.外傷歴なく両肘内反変形が出現.肘関節の亜脱臼,自己整復を繰り返していた.左側の亜脱臼は12歳ごろ自然に消失したが,右側は持続し,痛みを認めたため手術を予定した.肘内反角は右14 ° 左5° ,Humerus-Elbow-Wrist angleは右-13° ,左-5° であった.手術では右上腕骨に対し14° の外反矯正骨切り術を行い,長掌筋腱を用いて外側尺側側副靭帯を再建した.術後6か月で不安定性を認めなかった.【考察】本症例は先天性の内反変形が外側支持機構の弛緩を生じPLRIを生じたと考えられた.本症例では靭帯再建術だけでなく上腕骨矯正骨切り術を併用したことで関節不安定性が改善されたと思われた.
著者関連情報
© 2020 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top