日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
Ⅳ. スポーツ障害
学童野球トップレベル選手に実施した野球肘検診の結果
高橋 啓古島 弘三
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2020 年 27 巻 2 号 p. 278-281

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抄録

 高円宮賜杯第39回全日本学童軟式野球大会において全選手のメディカルチェックを行う機会を得たので報告する.出場選手860名に対し肘超音波検診を行い,上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD),上腕骨内側上顆裂離(MEC a),肘内側形態異常(MEC ma)の有無,地域別での障害有病率を調査しアンケートを聴取した.肩・肘関節痛がある選手は61%,治療歴がある選手は30%,各障害有病率はOCD5%,MEC a 10%,MEC ma 49%であった.ポジション別では,投手・捕手が野手と比較し肩・肘関節痛の割合ならびに各障害有病率が高かった.また,休日の練習時間が5時間以上になると障害発生が増加した.地域別でのOCD有病率は四国,関西,北信越が低く,MEC maの有病率は,四国,中国,北信越が低かった.学童期トップレベル選手の半数以上が障害を有しており,現状の野球指導のあり方を考え直す必要があると考える.

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© 2020 日本肘関節学会
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