日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
小児上腕骨内側上顆骨折に外側上顆剥離骨折を合併した1例
梅澤 仁森田 晃造
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2020 年 27 巻 2 号 p. 31-33

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抄録
 小児上腕骨内側上顆骨折と外側上顆骨折を同時に受傷するのはまれである.今回上腕骨内側上顆骨折と外側上顆骨折を同時に受傷した一例を経験したので報告する.14歳男児.高跳びにて左手で着地後,単純 X 線にて上腕骨内側上顆骨折と外側上顆骨折を認めた.内側上顆骨折の観血的整復固定術施行し外側上顆骨片は不安定性を認めなかったため未処置とした.術後 9 か月時点で関節可動域制限および関節動揺性なく経過良好であった.上腕骨内側上顆骨折に外側上顆骨折を合併したものは渉猟しえた限り本邦で過去7例とまれである.術後成績に関しては上腕骨内側上顆骨折の骨折型の寄与が大きいと報告されており,治療法として上腕骨内側上顆骨折に対する tension band wiring のみにて関節安定性が保たれるとされている.本症例でも同様に内側上顆骨折に対する加療のみで良好な安定性が獲られた.
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© 2020 日本肘関節学会
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