抄録
はじめに:当院の経験した小児上腕骨顆上骨折のうち,まれな屈曲型症例について報告する.
症例1:8歳女児,左肘をついて転倒し受傷.後方縦切開でのピンニングとテンションバンド固定を行った.術後12か月での最終可動域は屈曲140度,伸展0度であった.
症例2:6歳女児,右肘をついて転倒し受傷.内側アプローチでのピンニング固定を行った.骨折部に後方骨膜と上腕三頭筋内側頭の一部の嵌頓を認めた.術後10か月での最終可動域は屈曲140度,伸展0度であった.
考察:小児上腕骨顆上骨折の多くは伸展型骨折であり,屈曲型は珍しい.屈曲型骨折では骨片間に上腕三頭筋が嵌頓することがあり徒手整復は困難な上に,尺骨神経がけん引され尺骨神経麻痺を生じる可能性がある.観血的に尺骨神経を同定し整復することで良好な整復位を保ち,術後合併症を防ぐことができる.