日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅴ. 上顆炎・腱付着部炎
難治性上腕骨内側上顆炎に対して病巣掻爬に加えて尺骨神経の処置を併施した直視下手術の治療成績
森澤 妥大津 洋和
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キーワード: 内側上顆炎, 尺骨神経
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2021 年 28 巻 2 号 p. 150-152

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抄録

 上腕骨内側上顆炎の30%に尺骨神経障害を合併している.術前に尺骨神経障害の関与の有無・程度の把握は困難である.今回,病巣掻爬に加えて尺骨神経の処置も併施した直視下手術の治療成績を報告する.対象は11例11肘,男性3例女性8例,手術時年齢は平均54歳,術後経過観察期間は18か月であった.
 手術は回内屈曲筋群付着部の掻爬・ドリリングに加え神経の除圧,内側上顆部分切除,皮下前方移所を施行した.結果は全例で症状は軽快し,VAS平均は術前8.6から0.7,JOA-JESスコア平均は術前29.7から96.2と改善した.今回の結果から本術式はおおむね良好な結果が得られた.難治性上腕骨内側上顆炎は術前に尺骨神経障害合併の関与の判別が困難で病巣掻爬に加えて尺骨神経の処置を併施するのも一つの選択肢と考えられた.

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