日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
尺骨の急性塑性変形を伴う小児Monteggia骨折の急性期治療
岡田 恭彰高橋 啓伊藤 雄也草野 寛及川 昇古島 弘三船越 忠直堀内 行雄伊藤 恵康
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 28 巻 2 号 p. 49-54

詳細
抄録

尺骨の急性塑性変形(APB)を伴う小児Monteggia骨折7例の急性期治療を検討した.
対象および方法:平均年齢9歳,受傷から手術までの平均期間11日,平均Maximum Ulna Bowは4.5mmであった.治療は全身麻酔下で尺骨APBを可及的に徒手矯正し,続いて橈骨頭の徒手整復を行った.徒手整復で安定しなければ腕橈関節を展開した.整復阻害因子を除去しても橈骨頭の安定性が得られなければ尺骨矯正骨切りを行った.
結果:徒手整復のみで橈骨頭の安定を得たのは2/7例,橈骨頭の観血的整復を要したのは5/7例で,整復阻害因子は全例で腕橈関節に介在した輪状靱帯であった.整復阻害因子を除去しても橈骨頭の安定性が得られず,尺骨矯正骨切りを要したのは2/5例であった.
考察:尺骨APBを伴う小児Monteggia骨折の急性期治療では尺骨の徒手矯正と橈骨頭の徒手整復で橈骨頭の安定性が得られない場合,腕橈関節の整復阻害因子を解除して橈骨頭の整復を試み,それでも安定性が担保出来ない場合のみ尺骨矯正骨切りを行っても良好な成績が獲得でき,必ずしも尺骨矯正骨切りの必要はないと考えられた.

著者関連情報
© 2021 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top