2021 年 28 巻 2 号 p. 69-71
目的:上腕骨外側上顆炎へのステロイド局所注射が原因であると考えられる外側側副靭帯損傷の症例に対して長掌筋腱を用いた靭帯再建術を行い,良好な結果を得たために報告する.
方法:上腕骨外側上顆炎に対してステロイド局所注射後に,外側側副靭帯損傷を生じた3症例(平均年齢52歳,男性3例)を対象とした.評価は,術前注射回数,術後疼痛,不安定性の有無,肘関節自動運動可動域について調査した.
結果:術前注射回数は平均5.3(3~5)回であった.全例で術前に認めていた肘関節外側部痛や不安定性は術後に消失し,可動域制限も認めなかった.
考察:上腕骨外側上顆炎へのステロイド局所注射による外側側副靭帯損傷は注射回数が3回以上を損傷リスクとする報告もある.上腕骨外側上顆炎に対しての多数回のステロイド局所注射は,外側側副靭帯断裂の原因となる可能性があることに留意が必要である.