日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
小児肘関節分散脱臼の3例
原口 敏昭吉田 史郎松浦 充洋
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2021 年 28 巻 2 号 p. 64-68

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抄録
腕橈関節・腕尺関節・近位橈尺関節が同時に脱臼する肘関節分散脱臼はまれである.本脱臼を生じた3例を経験したので報告する.
症例1:7歳女児.転倒受傷し右橈骨頸部骨折を伴う集合脱臼と診断した.非観血的整復では整復位不十分であり観血的に整復固定を施行した.
症例2:6歳男児.転倒受傷し左尺骨近位端骨折・尺骨鉤状突起骨折を伴う横分散脱臼と診断し非観血的に脱臼整復を行い外固定による治療を行った.
症例3:6歳男児.ブランコから転落受傷し左肘関節横分散脱臼を認め,非観血的に脱臼整復を行い外固定による治療を行った.3例とも不安定性みられず可動域制限なく経過良好である.
小児の肘外傷は正確なX線撮影が困難であり診断に苦慮することも少なくない.肘関節脱臼の際は分散脱臼や骨折の合併の可能性も考え診断・治療を行う必要がある.
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© 2021 日本肘関節学会
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