抄録
はじめに:外傷性肘関節靱帯損傷のスポーツ,労働復帰の決定には明確な基準がなく,その判断に苦慮する.また保存治療中の靱帯修復過程を超音波検査で評価した報告は少ない.今回,われわれは外傷性肘関節靱帯損傷に対して保存治療を行い,超音波検査にて経時的に評価したので報告する.
対象と方法:外傷性肘関節靱帯損傷7症例を対象とした.平均年齢は23.1歳.6例がコンタクトスポーツをしていた.保存治療内容は前腕中間位,肘関節90度で副子固定を2~3週間行い,関節可動域訓練を開始した.靱帯の評価として超音波検査を1-2か月毎に施行した.
結果:肘関節屈曲144度,伸展-2度,Mayo Elbow Performance Scoreは平均97.9点であった.パワードプラ超音波検査では靱帯完全断裂2症例で靱帯内血流が高度な時期が2か月以上確認できた.
考察:靱帯内血流は完全断裂症例において長く続く傾向であった.