抄録
小児におけるtrans olecranon fracture dislocationを経験したので報告する.患者は6歳男児.遊具から転落受傷した.CT,MRIでは尺骨鉤状突起に骨傷はなく,骨軟骨片が骨端線近傍の関節面から肘頭窩へ転位していた.他に合併骨折を認めなかった.手術は内側アプローチにて骨軟骨片の整復とK-wire刺入を行った.術後1か月でギプスとK-wireを抜去した.術後1年で伸展0° 屈曲150° と良好な成績を得た.小児肘頭骨軟骨剥離骨折は稀な外傷である.なかでも本症例は,遊離した骨軟骨片が骨端線近傍の関節面から肘頭窩へ転位しており,MCLの破綻や周囲の合併骨折を認めない点が過去の報告と異なっていた.受傷メカニズムは肘頭関節面が骨端線を中心に一時的にopen book様変形したことが考えられる.内側アプローチは視野が得られやすく有用であった.