日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
陳旧性肘関節脱臼に対し靭帯再建と創外固定を施行した一例
筒井 完明稲垣 克記
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2022 年 29 巻 2 号 p. 90-94

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抄録

 症例は49歳男性.スノーボード中に転倒し受傷.受傷39日目に当院紹介受診となった.肘関節は脱臼位であり陳旧性肘関節脱臼と診断した.早期手術は困難であったため,受傷から 5.5 か月で手術を行った.手術は後方アプローチで展開し,関節内の瘢痕を切除し観血的整復を行った.整復後,内外側ともに著明な不安定性をきたしたため,内側は靭帯再建を行い,外側側副靭帯は縫合した.早期の可動域訓練のためヒンジ付き創外固定を追加した.術翌日から可動域訓練を開始し,創外固定は術後2週で抜去した.術後1年6か月の最終診察時,痛みや不安定性はなく,肘関節可動域は屈曲140度,伸展-10度,Mayo elbow performance scoreは100pointであった.関節脱臼整復の際に広範な軟部組織の剥離が必要となる当外傷に対し,一期的に靱帯再建術と創外固定を行い肘関節の安定性を得ることで良好な成績を得た.

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© 2022 日本肘関節学会
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