日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
完全転位型小児上腕骨顆上骨折に対する前方アプローチを用いた観血的整復固定術
安井 行彦栗山 幸治阿部 真悟片岡 利行
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2023 年 30 巻 2 号 p. 18-22

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抄録

 小児上腕骨顆上骨折に対する手術は,徒手整復下の経皮的鋼線刺入術が行われることが一般的であるが,高度転位例では筋損傷を伴うことがあり,整復時に医原性神経血管損傷をきたす可能性がある.医原性神経血管損傷のリスクが高いと判断した症例に対して,前方アプローチで観血的整復固定術を行った治療成績を報告する.対象は完全転位型の上腕骨顆上骨折で,開放骨折,X線所見で筋損傷が疑われる,神経麻痺,橈骨動脈触知困難を理由に前方アプローチで観血的整復固定術を施行した14例.医原性の神経血管損傷は認めなかった.神経麻痺合併の7例は全例で回復した.Flynn 評価はFunctional factor は E:12例,G:2例, Cosmetic factor は E:10例,G:3例,P:1例であった.前方アプローチでの観血的整復固定術は,動脈・神経を確認できる利点があり,安全性の高い選択肢と考える.

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© 2023 日本肘関節学会
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