日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
上腕骨頚部骨折と肘頭骨折を同時に生じた一例
市沢 歩美佐々木 規博石橋 恭之
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2023 年 30 巻 2 号 p. 143-145

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抄録
【はじめに】上腕骨頚部骨折と肘頭骨折を同側同時に生じた稀な症例を経験したため報告する.【症例】症例は72歳女性である.電球の掃除中にイスから転落し受傷,左上肢痛のため当科受診となった.上腕骨頚部骨折と肘頭骨折の診断となり,受傷3日目に上腕骨頚部骨折に対しては髄内釘を,肘頭骨折に対してはtension band wiring法で固定した.術翌日より可動域訓練を開始し,術後6か月で肩関節屈曲150°,水平屈曲110°,外旋20°,肘関節伸展/屈曲 -15°/145°と可動域制限が軽度残存するが,日常生活動作制限は認めなかった.【考察】上腕骨頚部骨折と肘頭骨折の同時発生例は我々が渉猟しえた限りではなかったが,他部位の骨折の同時発症例は散見され,受傷原因の多くは高エネルギー外傷だった.本症例は,肘軽度屈曲位による介達外力により上腕骨頸部骨折が,上腕三頭筋の牽引力により肘頭骨折が生じたと考えられた.
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© 2023 日本肘関節学会
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