日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
尺骨非定型骨折2例の治療経験
阿部 真悟栗山 幸治
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2023 年 30 巻 2 号 p. 146-151

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抄録

当院における尺骨非定型骨折2例3肘の治療経験を報告する.
症例1は86歳女性.掃除中に突然,左尺骨非定型骨折を受傷した.10年来のビスホスホネート(以下BP)製剤が投与されていた.受傷2週で腸骨移植及びプレート固定術を施行した.LIPUS及びテリパラチド製剤を併用するも術後半年で偽関節となった.術後3年で歩行中に右尺骨非定型骨折を受傷した.髄内釘を用いた手術を施行し術後1年半で骨癒合を得た.症例2は68歳男性.右手で頬杖中に受傷した.4年前よりBP剤を投与されていた.受傷1週でMIPO法によるプレート固定術を施行し,LIPUS及びテリパラチド製剤を併用した.術後5カ月で骨癒合した.
症例1左側では軟部組織を剥離しかつ固定性が足りずに偽関節となり,症例1右側の髄内釘では固定力不足で骨癒合まで時間を要した.MIPO法では強固な固定と軟部組織温存が可能であり骨癒合に有利であったと思われる.

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