抄録
橈骨粗面部の骨棘変化により,遠位上腕二頭筋腱部の障害を生じたと考えられた3例を経験したので報告する.3例の平均年齢は75歳(66歳~85歳),男性2名,女性1名であった.3例とも明らかな外傷のエピソードはなく,慢性経過での肘窩の痛みが生じ,当院受診となった.X線画像,CT画像にて橈骨粗面部の骨棘形成を認め,超音波検査で前腕回内時に粗面部骨棘が上腕二頭筋腱へ干渉していることを認めた.1例は遠位上腕二頭筋腱損傷と滑膜炎に対してブロック治療を行った.他2例は遠位上腕二頭筋腱の部分断裂を疑い手術を施行した.手術を行った2例中,1例は遠位上腕二頭筋腱の部分断裂,1例は完全断裂を認めた.2例とも骨棘切除と腱の縫合術を行い,術後痛みはなくなり,臨床成績は良好である. 橈骨粗面部の骨棘変化が前腕回内時に上腕二頭筋腱とインピンジすることでその周囲の滑膜炎,腱の部分断裂,完全断裂を生じたものと考えられた.