抄録
緊張が強く直接修復が困難であった陳旧性遠位上腕二頭筋腱断裂に対し,腱延長術に人工靱帯による補強を併用し,解剖学的に修復することで良好な成績が得られたために報告する.症例は53歳男性,腕相撲をしていて右肘関節部の疼痛が出現した.1か月程様子を見ていたが改善無く当科を受診され,陳旧性の遠位上腕二頭筋腱断裂を認めたため受傷44日目に手術を行った.断裂腱の短縮が強く修復には肘関節を90度屈曲する必要があり,腱実質部にスライド延長を加えて2cm延長した後にFiber tapeを用いて補強し,肘関節屈曲45度で橈骨粗面にSwiveLockを用いて固定した.術後2年の最終観察時,可動域制限なく,筋力は対健側比で肘屈曲106%,前腕回外100%,MEPS: Excellentであった.本法は手技も容易で腱採取の侵襲もなく,緊張の強い陳旧性遠位上腕二頭筋腱断裂に対する有用な治療法と考える.