日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
若年医原性筋皮神経損傷の長期経過例に対して尺骨神経部分移行術(Oberlin法)を施行した1例
冨山 陽平岩橋 徹数井 ありさ塩出 亮哉宮村 聡岡 久仁洋田中 啓之
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2023 年 30 巻 2 号 p. 198-202

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抄録

【目的】医原性筋皮神経単独損傷後に長期経過した症例に対して,尺骨神経部分移行術 (Oberlin法)を施行し,良好な治療成績を辿った1例を報告する.
【症例】主訴は左肘屈曲困難.22歳男性,アメフトの試合で左肩を地面に強打し,左肩関節を脱臼.近医受診し Bankart損傷の診断で鏡視下 Bankart修復術,Bristow変法を施行された.術後,医原性の筋皮神経損傷を発症し術後 8ヶ月で当院紹介となった.前回手術から 12ヶ月時点で Oberlin法を行い,良好な治療経過を辿っている.
【考察】神経損傷から手術までの期間が長期に及ぶ場合,神経筋接合部に変性が生じるため一般的に筋・腱移行術が選択されるが,本症例では Oberlin法で良好な治療成績を辿っており,長期経過例においても若年では有用な方法であると考えられる.

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© 2023 日本肘関節学会
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