2023 年 30 巻 2 号 p. 203-205
橈骨動脈アプローチでの心臓カテーテル検査及び治療後の前腕コンパートメント症候群は,稀である1)2).今回,同アプローチでの経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後に,肘から前腕にかけての急性コンパートメント症候群をきたした症例を経験したので報告する.緊急の筋膜切開術を施行し,良好な術後結果であった.本症例の発症の原因は,カテーテルやガイドワイヤーによる肘周囲での血管損傷や,抗血小板薬を内服していたことが考えられた.また,発症後早期に減圧筋膜切開術を行うことが有用であると考える.稀ではあるが,本症例のような発症機転も存在することは,迅速な診断や治療を行うために留意しておく必要があると考える.良好な術後経過であったが,開放創の閉鎖方法については今後も検討が必要である.