日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
肘関節内骨折に続発した外傷後肘関節拘縮に対する鏡視下および鏡視補助下での肘関節授動術の治療成績
八田 卓久信田 進吾
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 30 巻 2 号 p. 206-210

詳細
抄録

 肘関節内骨折に伴う外傷後肘関節拘縮症例に対して,鏡視下もしくは鏡視補助下での肘関節授動術を行った15例の成績を評価した.肘関節内骨折の内訳は,肘頭骨折が6例,肘頭脱臼骨折が4例,terrible triad injuryが3例,上腕骨coronal shear骨折が2例であった.鏡視下に関節内の癒着を剥離し,関節包の切離として前方関節包は近位付着部および尺骨における遠位付着部を,後方関節包は近位付着部を十分に切離した.屈曲制限の強い6例(他動屈曲100°未満)には,尺骨神経前方移行術および内側側副靭帯後斜走線維の切開を追加した.全例で関節可動域と肘関節機能の改善が得られた.術後に異所性骨化や神経障害を生じた症例はなかったが,初回手術後8か月で授動術を行った1例で肘頭骨切り部の再骨折を生じた.本法は術後可動域の改善を得る上で有用な治療法と思われるが,手術時期については慎重に考慮すべきである.

著者関連情報
© 2023 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top