抄録
野球選手の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(小頭OCD)に対する保存療法の治療成績を後ろ向きに調査し,集束型衝撃波療法(FSW)の有無で比較した.対象は骨端線閉鎖前の小頭OCD早期例41例41肘,年齢は平均11.8歳で,FSW照射群(F群)16肘と非照射群(C群)25肘の2群に分けた.投球再開は単純X線像上の外側壁の十分な再構築を確認できたら許可した.FSWの出力は最大平均0.24 mJ/mm2,照射回数は平均8.4回,照射期間は5.9ヶ月であった.背景因子は全てにおいて2群間で有意差はなかった.最終的修復状態は,良好の比率がF群75%,C群56%とF群で高かったが有意差はなかった.手術率はF群25%,C群36%だったが有意差はなかった.手術例を除く投球再開時期,競技復帰時期はF群が有意に早かった.FSWは小頭OCDの治癒を促進して投球再開時期を早める可能性が示された.